動画・映像制作の基礎知識

ミュージックビデオの撮影風景

最近はSNSサイトやYouTubeで動画をアップロードすることが流行っています。単純に撮影しただけのものを公開している場合もありますが、少し工夫をすればプロっぽい感じになって印象がいいです。では、どのような工夫をすればいいのでしょうか。この記事では【動画・映像制作の基礎知識】について解説します。知識や経験がゼロでも、この記事をお読みいただければ最低限の知識は身につきますので参考にしてください。

まずは、動画とは何なのかを理解しましょう

動画フイルム

静止画が集まったものが動画になります。静止画は小さな粒子が集まってできています。この小さな粒子のことを「ピクセル」と言います。動画を扱う場合にいろいろな専門用語がでてきますので、それをご紹介しておきます。

動画には2つの規格があります

(1)SDと(2)HDです。この2つの規格が流通していますが、次第に「HD」に統一されていくでしょう。

SD(Standard Definition)
  • アナログ放送
  • 解像度(ピクセルの数)……720×480
  • アスペクト比(横と縦の長さの比率)…… 4:3または16:9
  • DVD画質で古いタイプの四角形のテレビに映っていた規格
HD(High Definition)
  • デジタルハイビジョン放送
  • 解像度(ピクセルの数)……縦が720以上
  • アスペクト比(横と縦の長さの比率)……16:9
  • 最近主流になっているハイビジョン・ブルーレイ画質の規格

1秒間に使用される枚数「フレームレート」とは?

(1)NTSC方式と(2)PAL方式があります。アナログ放送の時代は、この2種類が採用されていました。

NTSC
日本国内での映像はこの方式で、静止画30枚(30フレーム)が1秒になります。このNTSC方式を採用しているのは、日本・北米・東南アジアの一部の国々です。
PAL
PAL方式は静止画25枚(25フレーム)が1秒になります。ヨーロッパ・南米・北アフリカ・ASEAN諸国がこの規格を採用しています。

これらの方式はハイビジョンを採用される場合にも受け継がれているのです。今は、世界各地で「デジタルハイビジョン」がスタンダードになってきています。放送の方法はますます複雑化してきます。
フレームレートやアスペクト比はハイビジョンの動画編集でも必要な知識ですから、覚えておきましょう。

「ファイル形式」とは何?

動画編集ソフト

動画や音声については、数多くのファイル形式がありますので、全てを網羅することは無理です。ここでは一般的に覚えておいたほうが良いものだけをご紹介しましょう。

(1)一般的な圧縮されていないファイル形式(2)インターネットで見かけるファイル形式(3)音声ファイルのファイル形式にわけてご紹介します。

(1)一般的な圧縮されていないファイル形式

【AVI】……Windows用のファイル形式
Windowsには、ウンドウズ・メディア・ビデオ(WMV)のファイル形式もあります。これは圧縮をかなりしているので画質が悪いのがデメリットです。データで書き出す場合は、AVI形式にするのが業界標準になっています。
【MOV】……Mac用のファイル形式
Macの場合はMOVが標準になっています。

SD画質の旧式ではWindowsとMacでAVI形式とMOV形式の互換ができます。ですがHD(ハイビジョン)のデータでは、互換のある専用のデータに変換する必要があります。

(2)インターネットで見かけるファイル形式

配信をする場合には、これらの方式に変換が必要です。

FLV(エフエルブイ)
インターネットで配信する場合に、組み込むデータとして使用されますが、今は使われる機会が少なくなり「MP4」が主流です。
MP4(エムペグフォー)
インターネット・スマートフォン・タブレットでストレスなく視聴できる目的で画質の品質は綺麗なままで、ファイル容量を小さくするために開発されました。今は「H.264」の形式がMP4の最新の圧縮技術です。

(3)音声ファイルのファイル形式

PCM
音声を収録した際の圧縮する前の音声データで劣化がないものです。
WAV
Windowsの音声ファイル形式です。圧縮していなければPCMと同じです。Windowsにはウインドウズ・メディア・オーディオ(WMA)の形式があります。これはかなり圧縮したファイルですからデーターで書き出す場合はWAVにするのがスタンダードになっています。
AIFF
Macの音声形式でPCMと同じ捉え方です。動画のところでも説明したように、WindowsとMacで独自の基本となるファイル形式があります。有料ソフトならば、大部分は互換で取り扱いできます。
Dolby Digital(AC3)
DVDやBD(ブルーレイディスク)に圧縮されたファイルで、もともとは映画のために開発された歴史的なファイル形式です。
MP3
音楽プレーヤーなどで採用されるファイル形式でPCMを圧縮しています。
ACC
ヨーロッパのDVDで採用されている形式です。この形式はiTunes Storeでも採用されていますし、MP4など次世代の動画ファイル形式にも採用されています。
音声に関しては「ステレオ」と「モノラル」がありますが、これについても触れておきましょう。ステレオは左右のスピーカーやヘッドファンから異なった音声を出力します。モノラルは左右のスピーカーやヘッドフォンから同じ音声を出力します。ステレオの方が基本的に音質は良いです。奥行きがあって臨場感もあります。撮影する場合には同時2系統のステレオ収録をしなければなりません。

各種設定に関して知っておきたい知識とは?

CDプレイヤーの内部

動画にはたくさんのファイル形式があります。撮影する場合でも編集する場合で、設定を正しくしておかなければなりません。

読み込みの設定・タイムラインの設定

今現在市販されているビデオカメラは、ハンディカムでも業務用のビデオカメラでも標準になっているのは「ハイビジョン撮影」です。ハンディカムの場合は「AVCHD」と呼ばれるコーディックが採用されています。解像度は1920×1080になっており、フレームレートは29.97です。プログレッシブの場合は 24Pまたは30Pです。

ワンランク上のハイエンド・ハンディカムとか業務用カメラの場合はHDVの設定ができる場合もあります。この場合の解像度は 1440×1080でフレームレートは 29.97になっています。ハイビジョンの場合のアスペクト比はどちらも 16:9になっています。

編集するソフトに読み込む場合にはデフォルトのソフトを使う場合、細かく設定する必要はありません。有料のソフトを利用する場合は、タイムラインの設定を撮影したコーディックと同じものに合わせることが必要です。

書き出し設定

編集がひととおり終了したら書き出しをしますが、この場合に(1)DVDやブルーレイディスク(BD)にする場合と(2)データで書き出す場合があります。

(1)DVDやブルーレイディスク(BD)にする場合
これは使用している編集ソフトでワンクリックすれば焼きまで自動でできるものもあります。もしも、自分で設定しなければならない場合は動画のデータを「m2v(エムペグツービデオ)」にして書き出しするといいでしょう。音声データは「ac3(エーシースリー)」に指定します。動画と音声に二つの指定をすることが必要です。
(2)データで書き出す場合
パソコンで保存をしたり、書き出したデータを他のパソコンに移したりして編集する必要がある場合があります。Windowsの場合は「AVI」・Macの場合は「MOV」で書き出ししましょう。タイムラインと同じ設定であるビットレートは 25bpsにします。自動設定される場合も多いです。
データをインターネットやタブレットに移行する場合は、MP4(エムペグフォー)で、もしも指定できるならば「H.264」に変換して書き出しするといいでしょう。こういった設定は大抵自動的に設定してくれる場合が多いです。

エンコードに関して知っておきたい基礎知識

画像編集ソフト

「エンコード」はファイル形式を変換する作業のことです。一般的にAVI(Windows)・MOV(Mac)・H.264で書き出したデータを次のようなシーンで変換することが多いです。

  • 編集のための変換
  • タブレット端末への移行のための変換
  • インターネットへのアップロードのための変換

元のファイルは残したまま書き出ししますが、ビデオ業者や素材制作会社の場合は、一度、非圧縮のデータで各出すことは普通の作業でしょう。たとえば、DVDや編集のつもりだったけれど、インターネットへアップロードするようになった目的が変更になった場合でも再編集したり、素材を受け渡ししたりするのに都合がいいからです。

一番早いのはオーサリングソフト(編集ソフト)で書き出しする設定をすることです。日数が経過して再編集をする場合もあります。その時に劣化させてしまったデータよりも、非圧縮の高品質データのほうが素材の組み合わせもしやすくなります。もちろん、マスターデータとして残していく目的もあります。

オーサリングソフトでもエンコードはできますが、できる限りエンコードの専用ソフトを使うほうがいいでしょう。専用ソフトの方が、より細かい形式で編集ができるからです。フリーで使える変換ソフトも多くあります。設定方法も難しくありませんし、スマートフォンやタブレットの規格に応じた設定が簡単にできます。動画の尺が短いものをエンコードする場合にもお薦めできます。

各種データの入力や出力に関する基礎知識

HDMIケーブル

テレビ・オーディオ機器・パソコンなどには、たくさんの「端子」がありますが、動画制作・動画編集をする場合に、この端子の知識も必要です。

「端子」と言ってもピンとこないかもしれませんので、具体的に言いますと「USB」「HDMI」「ヘッドフォン端子」「充電端子」です。あの穴があいた部分ですね。

その中でもさらに細分化されています。ビデオ出力をする端子に関しては、従来は「赤・白・黄色」の色がついてある3股のケーブルが一般的でした。持っている人も多いと思いますが、ファミコンなどで音声出力が必要なものには、必ずついていました。

ですが、最近はそういったケーブルを見ることは少なくなっています。「HDMIケーブル」が今は主流です。SDI(HDSDI)とかキャノンケーブル(オス・メス)や IEEEケーブルなども使われることが少なくなっています。しかし、規格は昔と変わりません。

データの取り込みもそうですね。従来はSDカード・メモリースティック・CFカードなどそれぞれのデータをパソコンに取り込むために、それぞれ規格にあったリーダーを用意しなければなりませんでした。

今は便利になっています。それぞれの端子口をまとめてUSBによって繋ぐタイプの「カードリーダー」があります。とっても便利になっているわけです。こういった技術を知らないと、恩恵を受けることができません。常に新しいテクノロジーの動向にも動画撮影・動画編集には必要なことかもしれませんね。

まとめ

ドローンに設置されたスマホの画面

いかがでしたでしょうか?

動画・映像制作の基礎知識をご紹介してきました。これで、動画・映像制作をすることに興味がでてきたのではないでしょうか。ステキな作品を作って多くの人達を楽しませてあげてください。これ以外にも役立つ情報を別ページで随時ご紹介してゆきますので参考にしてみてください。

WindowsにするのかMacにするのかも悩みがあるかもしれません。従来は動画編集ならばMacという時代がありました。これも、別にこだわる必要はありません。編集ソフトの種類とか動画ファイルの互換性で言えば、やはりシェアが多いWindowsのほうが有利です。

パソコンの使いやすさは圧倒的にMacのほうがいいです。理想的にはMacとWindowsの両方を持っておくことでしょう。互換性に関しても今は、ファイルのやりとりも簡単にできるようになっています。まずは自分が使いやすい方を購入して、セカンドマシンで違うOSやソフトを購入してもいいです。これだけは実際に使ってみないとわかりませんし、相性の良し悪しもあります。